2016年5月19日木曜日

さっぽろ子ども・若者白書

 
 
「さっぽろ子ども・若者白書2016」という書籍が刊行された。
自分は不登校あるいはひきこもりに関しての短文コラム(600字)の依頼をいただいていたので、掲載者ということで本の寄贈をいただいた。
 
刊行前にもらっていた目次案を見て、網羅性の広さ、それだけでも楽しみにしていたが、実際百人を優に超えると思われる寄稿者の名前を目次で拾うと存知あげるお名前のかたも多く、思った以上に身近な感じがした。
 
乳児の育ちの支援から青年期の課題とそのサポートまで、一冊の書籍の中でそれぞれの論者が自分の立つ現場からのレポートがあり、論がある。このような包括的な本はそう多くはないのではないか。その意味で「刺激的」な形での面白味こそないかもしれないが、乳児から青年期までの成長の足取りまでの見守りとサポートのありようの現在進行形を知るにはけして「さっぽろ」に留まることはなく、全国的な汎用性のある本となっていると思う。ぜひ多くの人に触れられて欲しい。
 
乳児から青年期のそれぞれのライフステージの節目についてまず研究者が論文を寄稿し、それぞれの現場の実践者が現場における支援の日常をレポートする。おおむねそのようなつくりで、研究者、あるいは教育関係者と、民間支援団体(主にNPOなど)が協同で作り上げた本で、チョイスの仕方もなかなかほかには見当たらないように思う。
 
まして自分のような、ほぼ200万都市にならんとする札幌市の群衆の中で埋没している者にも声がかかるくらいだから、よくぞ本当にこんなに多くの団体に声をかけ、協力をとりつけたものだと思う。締め切りや編集校正もあり(私もかなりの字数オーバーの修正を依頼された。すみません)、本当に編集部の人たちは大変だったろうと思う。
 
僕はほかに作業やほかに読む本などもあり、現在はまだ思春期の学びのシステム(通信制高校、学校統廃合問題、フリースクールについてなど)のところまでしか読めてないけど、自分が思春期の頃にはこんな情報を網羅した本はなかったので、本当に良い時代になったと思う。同時に、上昇を目指す時代から社会の持続性を探る時代に大きく変化して、新たな問題(貧困など)が浮上してるのだなあと。いつも変わらず子ども若者をめぐる育ちの課題はあるんだなあと思った。
 
これ以上はない情報の宝庫だと思うのだが、やはりその内容は支援側の仕事の本質が凝縮されていて、それゆえの活動のレポートが中心なので基本的にはサポートする側、支援する側の人向けの本になっている感じはする。
福祉従事者にはぜひ手元において欲しい本。

上記で「刺激的」な形での面白味こそないかもしれない、と書いてしまったが、読み進めると意外とふつうの意味で面白い内容もチラチラ含まれている。視点の面白さだ。
自分のコラムも普通ありえないというか、「お前がいうか」みたいな意味で異色感がある。
そういう発見もあるので(?)札幌市以外の人もどうか参考に。
本の問い合わせは以下のリンクからがよろしいかと。定価1500円(税抜)です。
「さっぽろ子ども若者白書を作る会」


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