2012年11月1日木曜日

味わい

 毎朝、自転車でJR札幌駅近くの屋根付き駐輪場に自転車を入れてアルバイト先に向かいます。駐輪場を借り始めた時以来、早朝早番で出勤される60代半ばくらいの人柄の良さそうなおじさんがいつも「おはようございます」「行ってらっしゃい」。帰るときには「気をつけてお帰りください」と。
声がけをしてくれて送り出してくれます。
 この6月に駐輪場を借りるようになって以来、早い段階から自然に親しみが湧いて、時折雑談したり、挨拶を交わしたりしていましたが、今日は割とじっくりと帰り際に話ができました。

 このところ朝、いつも駐輪場の中にいたおじさんは最近は見かけなっていました。寒くもなってきたので、早朝は入口の所にある管理室(高速インターチェンジのお金を授受する場所くらいのスペース)の中にいるんだろうなと思っていたのですが。
 本日は向こうの方から「久しぶりですね。朝なかなか会えないのは上(二階)や、他のことを先にやってしまいたいものでねえ」との話。僕が「いえいえ。もうこれから寒くなってきますしね。管理室の中にいらっしゃるかと思ってましたよ」と水を向けると、おじさんは「いやあ、それはねえ。お客さんが寒い中自転車で来られるわけでしょ?そんな様子を見てると、中に入っているという気になかなか、なれないんだねえ」と仰る。ほお~と感心して、「〇〇さん、失礼ですがシルバー人材センターから派遣されてきたのですか?」と尋ねたところ、「いえいえ」と。僕が「いやぁ、実はもしかしてサービス関係のお仕事をされて来た人かな?と思ってて。そんな感じがしますけど」と言うと、「うん。この駅のそばのビルの二階で理髪屋やってたの。いま〇〇(某焼鳥チェーン)がはいってるビルの2階でね」「ああ、なるほど~」。

 どうりでね、と思いました。前々からこのおじさんの親しみやすさや礼儀の良さには感心していたのですが、この屋根付き駐輪スペースの場所からほど近いところでずっと理髪屋さんをやってたんだ。「いま、引越ししてね。中央区の電車通りの方に移ったんだけど、向こうは道も狭いし、迷子になるよ。前はここのそばにね。住んでたの」「あぁ、それは近くていいですね。全く圏内じゃないですか。それじゃ、この風景がずっと馴染みですね」「そうね。もう50年近く、こちらでね」と。くふふ、と笑われる。

 いいなあ。いい味だ。そう、昔は理髪屋さんがそこかしこにあったんだよなぁ。職住一致だったりもして。もちろん駅の中心部なので、床屋さんが実家じゃないけど、長く職場のすぐそばに住んで、今も中央区のすぐそばが職場なんだ。いいなぁ。「お客さんが寒いと思うと、座ってられなくてね」、という言葉も理髪の仕事をやってた時代の習慣というか、気分が続いているんだろうなぁ。
 

 人さまの生きざまだから、簡単に推測してはいけないけれど、何か、自然ないい生き方をしてきてるんだろうな、と思って清々しかったのでした。
 今日はじっくり話が出来たので、表情なり、雰囲気なりも確認できたんだけど、とても自然で温厚そうな雰囲気。僕はこういう人がとてもしっくりくるし、元気をもらえます。

 地下歩行空間でビックイシューを販売しているMさんも、そう。最近はついつい甘えて1時間くらい話し込んでしまうけれど、この方も自分に対してオープンだから、僕みたいなかなりの人見知りも話しやすい。そして何より感心するのは客の流れや、その日々のイベントなどなど、人通りを客筋として見ている観察眼。その商売目線。それが全然嫌味でなく、普通に開放的に話してくれるので、勉強になることが多いのです。この方の表情やルックスもとても味わい深い。

 サービスの勉強を事前に仕込んでコミュニケーション能力を高めてサービス業に従事する。それを誠意あるプロフェッショナルな意識で向き合うならば、どんな若くても中年の方でも僕はとても敬意を感じますが、そういう事前に学ぶ方法じゃなくて、日々の中で培われた自然な気遣いみたいなものを昔の自営の人は持っていたんだと思います。
 そしてそれは「失敗」も含めて世の中全体で守られてるというか、包摂されて成長できてったような気がするんだけど。。。この辺のことは自分自身が未開の領域なので、なかなかうまい言葉が見つからないのだけど、感覚としては何かわかるんです。

 ビックイシュー販売員のMさんも話されたんだけど、買い物って、お客さんと売り子さんの、こういういろんな会話込みのものでしょ?というのは確かに、とうなづける。
 僕はおっさんなんで、いわゆる「〇〇銀座」のようなスーパー以前、つまりどこも商店街で物を買うのが当たり前の時代も知っています。
 子ども心にそれがけっこう嫌で苦手だったりしたので、結局この便利な時代に馴染んで生きてきたんだけど、段々年をとって昔ながらの居心地の良い時間が恋しくなってきたような。
 そんな気がする最近です。(まぁ、若い人相手、特に若い女性相手だと難しいと思いますがw)

PS.
 ケレン味のある文章を書いているうちにもう一つの書きたい情報を抜かしてしまいました。この10月より社会保険労務士事務所を開業。まだ作成したばかりの簡易なものですが、ホームページを開設しました。こちらが半分位、自分にとって肝心だった情報。
 「杉本社会保険労務士事務所」

2 件のコメント:

  1. あさとむつこ2012年11月28日 23:50

    わー、おめでとうございます。ほんとすばらしい。よかったですね。きっと、いい仕事されると思います。

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  2. ありがとうございます(笑)。
    でもまだ全然なんですよ。「畳の上の水連」にもチト自信が弱い。
    まだ別のところの関心に時間をさいてて、そちらが楽しいという(苦笑)。
    来年から、登録している会の勉強会に参加してきちんと見聞広げようかと思ってます。
    火曜日の風雪で駐輪場は今月一杯までは使えず残念。
    でも、GWから今までパンク一つせず錆びた我がママチャリは奮闘してくれました。感謝、感謝。

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